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見慣れた門が自動で開ききると、漆黒のベンツが滑るように敷地内に入る。
そのままゆうに3車線ほどありそうな道を上っていくと、木目の美しい扉―――玄関にたどり着いた。
そしてベンツはゆっくりと停止し、鷹夜は助手席から素早くおりて後部座席のドアを開けた。
もちろんそれと同時に礼をすることを忘れずに―――
「お帰りなさいませ、まりえお嬢様。」
『お帰りなさいませ、まりえお嬢様。』
ベンツからおりてきたまりえに鷹夜がいつも通り挨拶すると、いつの間にか集まっていたメイドたちも同様に挨拶する。
「ただいま。」
まりえは一同を見渡してから挨拶を返すと、魔術書や教科書の入った鞄をすっと右方向に突き出した。
するとそれを待ち構えていたように鷹夜が受け取ると、まりえはメイドたちが開けてくれた玄関の扉の向こうに消えた。
鷹夜はそれを見届けると、ベンツの扉を閉めて運転手に出すように指示をする。
「お帰りなさい、鷹夜さん。」
鷹夜がその声に振り向くと、そこには学園で見たままの皐月が立っていた。
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