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一度自分の部屋に戻って着替えてくるか―――
しかしそうすれば、まりえお嬢様に鞄を届けるのが遅くなってしまう。
ならばこのまま部屋に入って鞄を届けるか―――
しかし藤堂家の執事として、そんな無礼なことをするわけにはいかない。
ならばどうすることが最善なのか―――
どうしたものかと鷹夜がうんうん唸っていると、いきなり目の前の扉が開いた。
「!!??」
「人の部屋の前で、一体何をしているの……?」
まさか扉が開くとは思っていなかった鷹夜は、呆れた顔をしているまりえの出現にかなり驚いてしまった。
「お、お嬢様!?」
「まったく……何をしているのよ、鷹夜。
早く入りなさい。」
驚きから未だに扉の前で固まっている鷹夜にまりえはため息をつくと、さっさと部屋に入ろうとする。
しかし鷹夜は慌ててまりえを引き止めると、気まずそうに頭を下げた。
「すいません、まりえお嬢様。
このような格好では失礼ですので、着替えの時間を頂いてもよろしいでしょうか?」
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