59565人が本棚に入れています
本棚に追加
/903ページ
そしてそのまま足早に自分の部屋に向かうと、素早く執事服に着替える。
愛用の手帳を内ポケットに突っ込み、重量感のある鍵束を腰にくくりつけた。
いつ何時来訪者があるかわからないので、洗面所で軽く髪を整える。
「……よし。」
鷹夜は気合いを入れるように呟くと、直ぐさま部屋を出る。
そして螺旋階段をおりて大理石のエントランスを横切ると、別棟に続く扉を開いて長々と続く廊下を歩いていく。
「えぇっと、確か……」
鷹夜はこの広い屋敷の全見取り図を頭に浮かべながら、扉を一つ一つ確認しながら歩いていく。
それもそのはず。
この別棟は使用人の休憩室であったり物置であったりするため、あまり鷹夜はここに足を運ばないのだ。
そんなことをつらつらと考えながら歩いていると、ようやく目的の角部屋前にたどり着いた。
「ここですね。」
念のためもう一度見取り図を頭に浮かべ、核心をもって3回ノックする。
すると数秒たってから、中からほわんとした声が響いた。
.
最初のコメントを投稿しよう!