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「ちょうどいい時にきたわねぇ。
昨日庭師のげんさんからおまんじゅうもらったんだよ。
せっかくだから、おあがりなさい。」
「ありがとうございます。
じゃあお言葉に甘えて、いただきますね。」
そう言って鷹夜は饅頭を口にほうり込むと、糸も喉に詰まらないようにゆっくりと口にした。
「これはこれは……美味しいですね。」
口に入れた瞬間、甘すぎない餡の味がいっぱいに広がる。
鷹夜は満足そうに微笑むと、糸はお茶で饅頭を流し込みながら頷いた。
「でしょう?
実はこれ、げんさんの手作りなんだよ。
前に食べた時にあまりにも美味しくてねぇ、忘れられなかったんだよ。
それをげんさんに話したら、こうしてまたこさえてくれたってわけですよ。」
そう言って糸は熱っぽく語ると、再びお茶を口にする。
そして思い出したように手を叩くと、鷹夜へと向き直った。
「そういえば……今日はどうしたんだい?」
糸のその言葉で鷹夜もここを訪ねた理由を思い出し、お茶を一口飲んでから糸を見た。
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