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「まぁそれといった用はないのですが、皐月さんのことで……」
「おや……さっちゃんがどうかしたかい?」
鷹夜は頬をかきながら皐月の名前を出すと、糸は目を丸くして驚いた。
まさかここで皐月の名前がでてくるとは思っていなかったのだろう。
「いえ、特に何かをしたというか……いや、したか?」
鷹夜が首を傾げながら呟いていると、糸は不安そうな声で言った。
「さっちゃんが何をしたかはわからないが、何か粗相を……?」
「いえ、そんなことはありませんよ。
皐月さんはあなたの後継ぎらしく、立派にメイド長をしています。」
「ならば……」
鷹夜が慌てて否定したにも関わらず、糸はしわだらけの手を擦り合わせながら不安げに鷹夜を見た。
「普段の業務は完璧です。
ですが、恥ずかしいことに今日気がついたのですけど……
皐月さんはお嬢様の通うリベリア魔術学園で非常勤ではありますが、教師をしていまして……」
鷹夜はそこまで言って言葉を切ると、窺うように糸を見た。
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