愛ゆえに

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数日後、ルニアはグランの縁戚の娘として葬られた。 王の愛妾はその存在を失った。 そして、問題はレネスだった。 赤子のレネスを王宮に迎え入れるには、ルニアの存在を公表しなければならなかった。 それは出来ない。 なら、どうするか・・・。 「・・・その娘の子として、私が引き取ろう」 グランの申し出に、ガレットの肩が震えた。 ガレットには、苦しい問題だった。 愛する人を失った今、その忘れ形見を手元に置いておきたかった。 だが、それは出来ない。 グランの申し出に、最終的には頷いた。 その後、レネスは改名され、『レネス』の存在は消された。 新たな名を、『ガイル』と言う。 ガイルはディズの名を名乗らない。 グランの配慮によるものだった。 姓を、『フェルクール』と言う。 由来は、ルニアの生家、商店の名であった。 .
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