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「わたしのそばでは、安らげると・・・」
ルニアの嬉しそうな言葉に、グランは瞳を細める。
知っている。
親友が、常に心を研ぎ澄まして生きていることを・・・。
10年以上前のことだ。
ガレットには2人の兄がいた。
異母兄であったが、2人はガレットを可愛がり、ガレットは兄達を慕っていた。
しかし、2人は急死した。
事故で。
それが、王太后の親族の仕業だと分かっている。
何よりも、王太后が悲しんでいた。
そして、ガレットはそれ以来、他者に対して心を閉ざすようになった。
グラン以外には。
それは嬉しくもあったが、悲しくもあった。
心許せる存在が、少ないと言うことだから。
それが、心許せる存在を得たと言うのだ。
友として、グランは心からそれが嬉しかった。
「そう、ですか・・・。
それは良かった」
心からの呟きに、ルニアはニッコリと笑った。
「グラン様はご結婚なさらないのですか?」
唐突な問い掛けに、グランはポカンとしてしまった。
「・・・何故でしょう」
質問の意図が掴めず問い返す。
「だって、とてもモテるんじゃないですか?
そんなに綺麗なんですもの」
その言葉に、苦笑する。
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