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「・・・そうじゃない。
お前も分かっているだろう。
オリビア王妃の嫉妬深さを。
それが、ルニア様を殺そうとしていたことを」
ガレットはグッと言葉を詰まらせる。
分かっているのだ。
グランが何を思って、誰を思って言っているのか分かっている。
だが、それでも辛いのだ。
我が子を、この腕に抱きたいと思っているのだ。
「すまん・・・」
詫びるガレットに、グランは苦笑する。
「何を言う。
元はと言えば、私が唐突過ぎたんだ」
優しい友の言葉に、ガレットはフッと力を抜いて息を吐き出した。
「そうだな。
ありがとう。
・・・ルニア達の為にも、その方が良いんだろうな」
「お前は辛いだろうが・・・」
「なに、ルニア達が無事なら構わん。
グラン、守ってくれるか?
お前にしか頼めん」
「もちろんだ」
元よりそのつもりでいたのだ。
誰が断るものか。
親友の子ならば、自分の子も同然だ。
グランは、心からそう思っていた。
それは真実だったのだ。
だが、賢者と謳われるグランでも、予想しなかっただろう。
まさか、本当に自分の子になろうとは・・・。
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