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「とにかくミス・メサイア! その子と使い魔の契約を結びましょう」
先生の言う『使い魔の契約』を聞いた瞬間、シエルは顔を歪ませる。
とりあえず小さな声で、反抗してみる
「……嫌です」
「あなたが嫌でもこれは仕方のない事なのよ。一度召喚した使い魔を取り消せないのは皆も同じ、例外はないのですよ」
あっさり切り捨てられた意見。
それでもシエルは拒み続ける。
――それは乙女として、当然の行動であろう。
「……わがまま言ってるとご両親に連絡しますよ?」
「うっ!?」
冷や汗が垂れまくりの顔で、とうとう先生の凄みに黙ってしまったシエル。
小さな声で『初めてなのに何でこんなヤツなんかに……』と文句を言いながら、渋々といった動作で少年に近付いてゆく。
「……言っとくけど、動いたら今度は遠慮なしに蹴るわよ」
「!?」
少女の脅し文句に肩をビクッと震わせ硬直する少年。
それを見て、長い、本当に長い溜め息を吐くとシエルは顔を近付ける。
長いまつ毛と薄い唇、少しだけ朱に染まった頬。
風に揺れるキメ細かな桃色の髪と、微かに漂う少女の匂いが二人を包む。
時間は一瞬、されど両者が感じたのは、きっと永遠。
そして、唇は重なり合った――
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