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「二時間あるから………1人三分くらいだな。三分ちゃんと話せよ谷!」
「はい(涙)」
俺は立ち上がり、教壇に立った。
「谷 祐真です。よろしくお願いします。」
一礼した。
バン
頭が教卓に当たったのだ。
「いってぇ~!」
それで、教室中の空気はやわらいだが、頭がヒリヒリする。ネタとしては古典的だが、まだまだ使えるようだ。しかし俺はネタとして頭をぶつけたのではない。まぢでぶつけたのだ。
「はい。自己紹介続けま~す。」
みんなの視線が、新しい笑いを求めているようだ。俺は何かしないという使命感から、
「特技はピッチングです。昔、少年野球やってました。今からコントロールを見てほしいと思います。」
といい、先生の方を指差した。
「先生の後ろに画ビョウが1つ刺さっています。今からそれを狙います。」
ヒュッ
見事、紙を丸めて作った画ビョウは、先生の頭上に当たり、カツラが落ちた。
クラスのみんなは笑っていいか困惑した様子だったが、先生が、
「カツラばれてるとは、思わなかったな…。」
と呟き、
髪の毛トークを繰り広げたので、クラスは大爆笑。俺の手柄となった。しかし、先生のトークが長く、自己紹介したのは結局俺と先生だけだった。
「自己紹介は明日の理科の時間に谷からやり直しな。」
(俺はまたやるのかよ。)
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