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俺は靴を履き替え、外に走っていった。
まだ、彼はそこに居る。座ってどこか遠くを眺めている。
俺は行きを切らせながら、彼の脇に座った。
「よう。どこ見てんだ?」
「あ…べっ別に。」
俺の問いかけに、おどおどと返事をしてきた。
「この前、神社の階段で会ったよね。何してたの?」
「別に…。」
(別にってことは、ないだろ)
と、思いながらも、会話を止めないように頑張って話そうと決めた。コンクリートの階段から冷たさが伝わってくる。
「あのさぁ…」
意外なことに彼から話しかけてきた。
「あのさぁ、谷君こそ何やってたの?神社で。」
「俺?走ってただけだよ。」
「走ってただけ?なんか楽しそうだったよ。走るの…好きなの?」
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