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「馬鹿!何考えてんだよ!辞めるだって…つまんねぇ事いうなよ!俺は終わりたくて終わらせたんじゃ無いんだよ!」
怒鳴っていた。下ばっか見てるやつは嫌いだ。昔の俺と重なる。前を向いてほしい。ずっとずっと前を。まだ視界が霞んでいるかもしれないが、やみくもに走ってほしい。理想の明日に走ってほしい。
「ゴメン…止まってたよね。じっとじっと下を向いて、しゃがみこんでいたよね。でも、どうしたらいいか分からないんだよ。」
「走ろうよ俺と。」
俺は立ち上がり、手を彼の前に出した。
「行こうぜ。」
彼は無言で手を伸ばした。俺は彼の手を引き、彼をまっすぐ立たせた。
夕日が1日の終わりを告げるように最後の輝きを出している。そんな太陽に背を向けて、二人は走り出した。
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