走り出す

5/8

9人が本棚に入れています
本棚に追加
/37ページ
「おじさん。ラーメン2つ。」 「はいよ~!」 ラーメン店は、熱気につつまれ、店の角にあるテレビでは野球中継が流れている。 「明日からどうする?」 涼は真面目に俺に問いかけてくる。この真剣な目は、長い弓道経験を物語っているのだろう。 「明日からか…まず顧問の先生を探さなきゃな。」 「そうだよね。僕たちは、練習するだけじゃ駄目なんだよ。」 「ああ。」 「不利だよね。僕たちが顧問だの部員だのを探して、練習場を借りる手続きをしている間、みんなはもっと強くなってる。」 「それは違うよ。俺らの熱さはだれにも負けない。練習は大切だが、勢いで勝つことだってある。勢いは俺らが勝る。」 そう、弱気になっちゃ駄目だ。常に歩みを止めない約束ではないか。 「はい。ラーメン大盛りサービスね!」 「ありがと。おじさん。」 よっしゃまずは食って、明日のことを考えるか。
/37ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加