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「俺が部長かぁ。何だか照れるな。」
「照れてる場合かよ。今日から忙しくなるぜ。」
「そうだな。頑張らなきゃ。」
「ああ。」
一時間目の始まりを告げるチャイムが鳴り響く。教室中は少しざわめき、先生が教室の戸を開ける音がすると、やっと席に座りだす。
俺は、解の公式の説明を聞き流し、誰を弓道部に誘うか考えていた。まずは聖夜君にあたってみるか。野走聖夜(ノバシリセイヤ)、彼の名前だ。いつも授業はしっかり聞き、ノートも綺麗にまとめている。彼の字を見ていると俺のノートは、庭を並んで行進している蟻の行列にしか見えない。
先生は解の公式を使って、例題を解き始めた。(まだ授業終わらないのかなぁ。)と思い、時間割表の上辺りに掛けられている時計を見る。あと20分はあるようだ。
ため息をして、聖夜君の方を見ると、聖夜君は窓の外を眺めていた。いつも黒板の文字を坦々と書いているのだが、今日はぼっと外を見ているのだ。
(何かあったのかな?)
そう思った時、
授業終了のチャイムが鳴った。あれ?いつの間に終わったんだろ。などと考えながら、小走りで聖夜君のところに近寄った。
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