9人が本棚に入れています
本棚に追加
/37ページ
白い山が俺らの出発を見下ろしている。新しいこの地で、上手くやっていけるかどうか、山は知ってるだろう。
ハンバーガーを口に運びながら、新しい高校生活について考えてみる。たしか里渕第一高校という名前だった。まぁこの辺りの人は、交通網が少ないため地元の『里一』か『里二』か『里農』に通う。
だからみんな顔馴染み。しかもこの田舎の村だから、半分は家族みたいなものだろう。そのような高校で、仲良くやっていけるだろうか?ちょっぴり心配だ。
「お~い。祐真!はやく食って片付け手伝えー」
「は~ぃ」
残ったポテトを口に詰め込み、引っ越しのトラックから段ボールを運び出した。最低でも、自分の荷物は自分で片付けようと思った。ちなみに、俺の荷物はたいしたことない。何も入ってない学習机と漫画が数冊。あとは洋服だけど、制服を着るので、ほとんどを捨ててきた。
一つだけ片付けきれない物がある。それは思い出だ。もうすごい昔の事のようだ。アルバムに貼りきれないほどの写真。捨てられずに段ボールの中だ。
「また、新しい写真が撮られるだろう。今までのアルバムに重ねて貼られてしまうのだろうか。」
最初のコメントを投稿しよう!