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トラックはもう去ってしまった。思い出と共に、戻っていった気がする。俺の胸の中に、強い何かがあると気付いた。荷物を家に運び込んだ、父は寝てしまった。
「長旅につかれたんだろうな。」
母がそっと父に布団をかけていた。
「母さん?ちょっと走ってくるね。」
「ゆうーまだ慣れない道だから迷子にならないでよね。」
「わかってるよ。俺を何歳だと思ってるんだよ!」
「えー高校生になるんだっけね。夕食までには帰って来なさいよ。」
「わかった。いってきます!!」
俺は運動部ではない。ずっと文化部だった。でも毎日のランニングは欠かせない。
俺にとって走ることが、使命のように思えている。突然の事故による友達の死...俺が毎日の散歩をサボっていたことに後悔したのだ。シロ俺は走るからね。一緒に散歩できなかった分、走るから、許してくれ!
そしてランニングを続けてるうちに、孤独の時間も悪くないと思った。1人でもくもくと走り続ける事が楽しくなってきた。
周りの景色を見ながら、小鳥の声を聴きながら、小さな子供が騒いでいると俺も微笑み、ゴミをあさるカラスに怒る。
何気無い日々がウキウキの連続だったのだ。そして今日も初めてはしる道なだけに、胸がはずんでいる。
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