第三章~荊州~

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早くから異才をみせ、周囲の評判も高い関興に対して、弟の関索はまだまだ幼い。 長兄の関平は、常に荊州に目を配らなくてはならないので、弟達のことまで手が回らなかった。 そのため自然と関索の面倒は、関興と彼の近侍として仕える李亭がみる事が多かった。 二人の母は、関索を生んで間もなく他界した。 そのこともあってか、関索はいつも関興の側を離れようとしなかったのだった。 ある夜、関興はいつものように書物を読んでいると、どうやって寝室を抜け出して来たのか、関索がそっと顔を出した。 「兄上…」 関興はその声に気付くと、弟に微笑みかけた。 すると、関索は兄が怒ってないことに安心したのか、近くに寄ってきた。 「眠れないのか?」 関興が尋ねると、関索はやや大袈裟に頷いた。 (父上なら叱り飛ばすだろうなぁ。まだ五才なのに…) 関索の髪を撫でてやりながらそう思う。 関羽はそんな甘い考えを、常に嫌っていたからである 「よし、兄がお話をしよう」 「はい…」 (眠れないと言いつつも、すでにまぶたが落ちそうだが) そんなことは構わず、関索は話しを促すのだった。
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