602人が本棚に入れています
本棚に追加
/87ページ
早くから異才をみせ、周囲の評判も高い関興に対して、弟の関索はまだまだ幼い。
長兄の関平は、常に荊州に目を配らなくてはならないので、弟達のことまで手が回らなかった。
そのため自然と関索の面倒は、関興と彼の近侍として仕える李亭がみる事が多かった。
二人の母は、関索を生んで間もなく他界した。
そのこともあってか、関索はいつも関興の側を離れようとしなかったのだった。
ある夜、関興はいつものように書物を読んでいると、どうやって寝室を抜け出して来たのか、関索がそっと顔を出した。
「兄上…」
関興はその声に気付くと、弟に微笑みかけた。
すると、関索は兄が怒ってないことに安心したのか、近くに寄ってきた。
「眠れないのか?」
関興が尋ねると、関索はやや大袈裟に頷いた。
(父上なら叱り飛ばすだろうなぁ。まだ五才なのに…)
関索の髪を撫でてやりながらそう思う。
関羽はそんな甘い考えを、常に嫌っていたからである
「よし、兄がお話をしよう」
「はい…」
(眠れないと言いつつも、すでにまぶたが落ちそうだが)
そんなことは構わず、関索は話しを促すのだった。
最初のコメントを投稿しよう!