砂漠の世界

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 我らの住むこの大陸──ユーゴライド大陸は周知の通り、そのほとんどが砂漠という渇ききった世界である。  太古の昔、滅びの光により、大陸の自然は瞬く間に砂に変わってしまったと聞く。  そして滅びの光以降、一部残った森林や一滴の水を我が物にしようと世界では紛争が起こった。  人々は餓えと渇きに狂い、森と水に心惑わされ、その狂い惑わされた人々は各地で争いを起こしていた。  だが、百年程前、現ヴァーシーア農国国王の先祖が民をまとめあげ、農国を建国。  以降訪れるであろう未来の為に、皆の心をまとめるのであった。  ただ、その時。  農国国王に敵対した全ての者は犯罪者として、農国をおわれた。  犯罪者の多くは砂漠で野垂れ死んだが、それでも生き残りの者は砂漠の地底湖を発見した。  神の気まぐれか、あるいは必然の結果か。  その者達は、その場に街を建て、それ以来、農国をおわれた者はその街を目指した。  食料は尽き、水も涸れたまま、向かってくる砂嵐を越えた先にある無法のスラムを人々はこう呼んだ。 ──『パラダイス』と……──
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