砂漠の孤蝶は花開く

『何でも屋』

　
　以上のことがヴァーシーア農国創世石碑に記されている一文だ。

　ただ、記したのは農国創世者ではなく、二代後の農国国王なのでどこまで本当かはわからない。

　だが、農国とパラダイスが現に存在しているのも確かで、あながち歴史の改竄は行われていないとは思う。

　ただ、今のパラダイスは犯罪者集団として農国と対立している訳ではない。
無法であることには変わりはないが、今は独立した国家のように農国と対等に貿易をしている。

　農国では農業と化学を、パラダイスでは商業と鉄鋼業を生業とし、それぞれの産物を商人を通じて交換しているのだ。（パラダイスは国家ではないので、貿易と言ってもその程度だ）

　パラダイスのほとんどの住人は商人か鉄鋼関係の労働者だが、中には他の職業についている奴もいる。

　『何でも屋』のバレット・ジョーこと、俺、バレットもその一人だ。