砂漠の孤蝶は花開く

『何でも屋』

　
　今、俺が住んでいるパラダイスは高さ約三十メートルの鉄の壁に囲まれた円形の都市だ。

　この鉄の壁は地下まであり、砂嵐や砂が侵入しないようにするためと、何より『バードラワーム』の侵入を防ぐ意味がある。

　バードラワーム。
　ユーゴライド大陸最悪の生物だ。
　肉食で甲殻類に分類され、その硬い外皮と円錐型の頭で砂の中を移動する。
目は退化しており、おそらく音で獲物の位置をつかんでいるのだろうと予測される。
　体長は十メートル前後、肉は有毒。また、舌の近くに毒針の発射口があり、ここから致死性の毒針を発射する。
　この毒針に撃たれると約十分で体の水分がなくなり、死に至る。
　まさに最悪の害虫だ。
　俺も数えるくらいにしか遭遇していない。

　この害虫から街を守るのが、地下から立てられている鉄の壁だ。
　今のところ、パラダイスにバードラワームが入ったことはない。