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俺が彼女を観察するようにゆっくりと見ていると、
「お兄さん、やるの?」
「へっ?」
突然の言葉。
俺は、彼女が何を言っているのか分からなかった。
ただ、次の言葉を聞いた瞬間、俺はなんのことを言ってるのか理解した。
「手なら千円、口は千五〇〇円……」
その、震えている嫌な言葉が耳に取り込まれていく。
「付けてなら三千円、生なら四千円、中で出すなら」
「止めろ」
「えっ……?」
俺は不意にそう呟いていた。
その言葉を聞きたくないがために。
彼女の目に俺の目を向ける。
一番に出ていたのは驚きの色。
しかし、その奥には確実に絶望、暗闇、奈落が見えた。
光が……ない。
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