冬と空と雨と……

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暗闇でも分かる。彼女の周りの空気が震えてる様に見えるくらい、彼女は狂った様に体を小刻みに震わせる。 なんとかしてあげないと……。 「取り敢えず、これ着て」 俺は、下着姿同然の彼女に、せめてもとパーカーを掛けてあげた。 少し嫌そうに顔をしかめたが、一応は着てくれた。 「君、お母さんやお父さんは?」 「いない」 良かった、ちゃんと話せる。 でも、いない?死んだのか? 「私、捨てられたから」 「えっ」 他人の今置かれている状況。 知らなかった俺に、その言葉はザクリと何かを突き刺す。 なに馬鹿してんだ俺は……。 だがそれ以上に、親に捨てられたと言った少女に、不安を抱いた。 「ちょっとごめんね」 俺は彼女の細い腕を取った。 ビクリと一瞬だけ反応したが、すぐに大人しくなってくれた。
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