484人が本棚に入れています
本棚に追加
暗闇でも分かる。彼女の周りの空気が震えてる様に見えるくらい、彼女は狂った様に体を小刻みに震わせる。
なんとかしてあげないと……。
「取り敢えず、これ着て」
俺は、下着姿同然の彼女に、せめてもとパーカーを掛けてあげた。
少し嫌そうに顔をしかめたが、一応は着てくれた。
「君、お母さんやお父さんは?」
「いない」
良かった、ちゃんと話せる。
でも、いない?死んだのか?
「私、捨てられたから」
「えっ」
他人の今置かれている状況。
知らなかった俺に、その言葉はザクリと何かを突き刺す。
なに馬鹿してんだ俺は……。
だがそれ以上に、親に捨てられたと言った少女に、不安を抱いた。
「ちょっとごめんね」
俺は彼女の細い腕を取った。
ビクリと一瞬だけ反応したが、すぐに大人しくなってくれた。
最初のコメントを投稿しよう!