冬と空と雨と……

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殆ど肉が付いていない。 骨が浮き出る位痩せてないのがせめてもの救いか。 それ以前に、とても……冷たい。 あれだけ震えてるんだ。体温もかなり低い筈だ。 そりゃそうだ。俺がこの娘を見つけてから六時間以上立ってるんだから。 俺は、彼女の体を気にしながらも、そのまま彼女の服の袖を少しめくった。 「これは……酷い……」 冷静に対処しようかとは思ったが、思わず口に出してしまう。 不安は的中した。 思わず目を逸らし、口を抑えてしまう。 先程突き刺さった言葉の刃に、重りを付けられたように、胸の内が抉られる。
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