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彼女はどれ程酷い扱いを受けたんだろうか。
それを考えると、俺は涙が出た。
可哀相。そんな言葉では片付けられない程の憂いを、彼女からは感じられた。
「ごめんな……」
今だに軽く落ちる雨に混じり、俺の涙が地面に落ちる。
正義感の欠片もない俺が、会ったこともなかった少女一人によって、ここまで涙を流せるのかとも思った。
そんな悲しみにくれた俺が、地面に顔を向け、泣いていると、
「うっ?」
柔らかい感触、冷たい感触、その二つが、小さく頭に感じられた。
目の前に目を移すと、何が乗っているのかが分かった。
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