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「うー、寒い……こんな日位休ませてもらいたいよ、全く」
三枚も服着込んでんのにな。こりゃ雪降るな。
「とにかく、サッサとバイト済ませて、年越し蕎麦食って寝よ」
どこの家からも、微かにだが家族団欒の声が聞こえる。
その家々を囲むコンクリート塀。
それで出来ている入り組んだ、狭い住宅街を通る道。
その中心を、俺はバイト先であるコンビニに行くため、家の中から聞こえる笑い声等を、鬱陶しいと思いながら、悠々と歩いている。
なんだか、俺の周りだけ街灯の光が暗くなってる気がするな……。
こんな一年の終わりに働くなんて、ご苦労様なこったよ全く。
そんなことを考えながらも、コンビニに向かっていると、
「……ん?あれは」
小さな街灯が照らす、ジャングルジムや、ブランコ。
しかし、それは全て錆び付いていて、それの影響で、かなり寂れた様に見える。
そして、よく見ると、公園の中に不可解な物を見つけた。
「女の子?」
見ると、ポツンと一人、遊具に混じって、小学生位の小さな子供が立っている。
街灯の光が不十分で、暗く、よくは確認出来ないが、髪の長さからして恐らくは女の子だろう。
「何してんだこんな時間に?もう十時周るぞ」
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