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俺は、そんな不思議な光景を気にしながらも、そのまま歩き、バイト先へと向かった。
『暗かったから見間違いかもしれない』
と、自分で思いながら。
残り二分程行くと、目的地の、少し開けた場所にあるバイト先のコンビニに着いた。
いつも客が入る、店内からの光が明るい入口の方から、後ろに建つ低いビルのせいで暗い裏口へと周り、中に入る。
「こんばんは」
お得意の生気を籠らせる価値もない営業スマイルを浮かべ、だらけた雰囲気で休憩を取っているコンビニの店長と、帰る準備をしている後輩に挨拶する。
「ちぃーっす、仙十(せんと)」
「あっ、仙十さん来たんで俺はこれで」
俺と入れ替わりに、一人の従業員が、俺の脇を通り、俺が入ってきた扉からコソコソと出ていった。
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