冬と空と雨と……

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  「はい」 素っ気無い返事でこの場をやり過ごそう、と思ったが、 「そういやさ、さっき公園で偉いもん見ちまったんだよ」 公園?さっきの所か……。 「何を見たんですか?」 俺は気になり、酒臭いのを我慢しながら、早口でそう聞き返した。 「それがなあ、小さい女の子がなあ……」 無駄に延ばすなおっさん!マジで頭髪バーコード読むぞ! しかし、そんなことを考えながらも、商品を運ぶ手を止め、話しに集中し耳を傾けていた。 「男に金貰って、林に連れてかれてた」 「それで?」 「さあな。そこからは見てない」 あの女の子は……。 途中で考えを止め、おっさんの話しをある程度聞き終えてから、再び商品に手を付け、袋に発泡酒等を詰め込んだ。 「ありがとうございます。お会計、二六八三円です」 おっさんは準備していた財布から一万円を取り出し、俺に握らせた。
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