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「頑張ってる兄ちゃんに俺からご褒美だ。お釣は取っときなよ」
そう言って、おっさんはガサリと袋を受け取り、先程のフラフラな足取りで出入り口に向かった。
ピンポンピンポンと、入ってきた時と全く同じ音がなり、おっさんは電柱にぶつかりながらも夜道を歩いて行った。
「ありがとうございました。……それと、ありがとうございます」
って、聞こえてないか。というか、言うの遅かったかな?
でも、意外と良い人だったな、あのおっさん。
ガシャンと乱暴な音を鳴らしながら、大した金も入っていないレジを開く。
俺はおっさんに感謝しながら、一万円をレジにいれ、その差額分を小銭と札に分け、取り出し、再びガシャンとレジを閉めた。
「さてと……まだ仕事だしな。気になるが終わらせてからじゃないと」
心に重い何かを引っ掛けながらも、俺は意識を仕事に戻した。
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