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それからはお客もスーツ姿の男と、柄の悪いカップルの3人しか来ず、暇を持て余しながらも、時間はいつの間にか、深夜二時を周った。
「そろそろ終わるか」
俺はスタッフルームにある更衣室に、早く帰りたい気持ちを駆け足に乗せて、再び向かった。
途中、
「あれ?もう帰るのか?まだ次のバイト来てないから頑張れよ」。
と駄目店長が抜かしてきやがったが、その言葉の直後に新しいバイトが来たため、残業は免れた。
コンビニの制服を、グシャグシャと適当にロッカーに詰め、着て来た服に着替え終えると、俺は一目散に公園へと向かった。
あれはやはり女の子だった。
それを確信した時から、俺は妙にあの子を気にしていた。
ただの興味に等しい程の気持ちだが……。
気付けば、俺の予想とは裏腹に、ゆっくりポツポツと雨が降り始めていた。
雪のように冷たく、悠長な雨が……。
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