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緩い、凍りそうな雨の中、俺は先程貰ったお金を札だけ握り締めた。
制服のポケットの中に入れていたが、着替えをかなり急いでたんで、財布には入れず、札だけ取り出したまんまだった。
そして、走っていたためか、歩いていた時よりも一分早く、暗い公園に着けた。
公園に唯一ある、街灯の下に駆け寄り、そこから辺りを見渡す。
狭い公園の中、先程立っていた所に女の子はいず、辺りを見渡したが影さえも見えない。
いや、夜だから影が見えたらおかしいのか……。
ヤバい、俺なに慌ててるんだ。
俺がそんな些細なことで頭を抱えていると。
「お兄さん」
突然後ろから声をかけられた。
暗くて、寂しげで、震えた小さな声で。いきなりで、男女の聞き分けはつかない。
遅い時間と言うこともあり、少々戸惑ったが、俺はゆっくりと首だけ回して、声のした方向に目をやった。
そこには、少女がいた。
付け加えるなら、淡い赤色の、中華服の様な物を上にだけ羽織った少女がいた。
下は、少女らしい白の下着だけ。
一言で言えば……みすぼらしい。
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