出逢い

6/6
前へ
/74ページ
次へ
結婚当初、洋二はとても良い夫であった。 当時の職場は家族ぐるみでの付き合いで、明美は洋二が1番良い夫だと思っていた。 優也が産まれて初めての子育てにオロオロする私を支えてくれた。 オムツ交換もお風呂も、夜泣きすると車を出して寝かしつけてくれた。 周りにそこまで育児に協力してくれる旦那さんはいなかったから。 しかし、転職を機に一気に坂を転げ落ちるように、洋二の様子は変わっていった。 特に美咲が産まれてから。 夜泣きをすると怒鳴り、幼い優也に八つ当たり。 まるで優也をライバル視してるようだ。 美咲は女の子だから可愛くて仕方ない。 優也は男の子、明美を独占するのが気に入らないらしい。 赤ちゃんの頃から優也と添い寝させてもらえなかった。 若く子育てに自信の無い明美が、優也のことを気にかけるのが面白くないらしい。 我が子なのに…一緒に野球をしたいから男の子がいいって喜んでたのに。 美咲が赤ちゃんの頃は全く面倒も見なかったのに、成長し可愛くなってきたら可愛がりだした。 何よ、この変化は。いいとこ取りじゃないの。 明美の心はすっかり洋二から離れていた。 対照的に洋二の明美への想いは強くなる。 絶対子供達とは寝かせず、毎晩のように体を求めてくる。 疲れてるからと拒むと超ご機嫌悪くなる。 風邪をひいて熱があっても…それって愛情じゃないよね!? 友達に聞きたくても、なかなか聞けない問題だ。 一応夫婦なんだから仕方ないかと体を任せる。 ものの3分もあれば終わるのだが…自己満足で終わるんだから。 いっそ、流行りのセックスレス夫婦が羨ましいとさえ思う。 気持ちイイなんて感じたこと無いし、子作り以外の目的でする必要ないじゃん。 明美がそこまで冷めてるとは夢にも思わぬ洋二だった。
/74ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加