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「…あっ!… はっっ!!」
私の声に異常に驚きながら、へんな反応をみせる男。
見ていると、メガネをかけた顔がみるみる赤くなっていくのがわかった。
(なんだコイツ)
無表情で見つめる私に、その男はしばらくしどろもどろ。
そしてついに男は、濡れた髪を少し押さえながら、意を決した様に大声を出した。
「ぼぼぼ、
僕に付き合って…っ!」
(…なんだって?)
「ふぎゃっ!間違った!
“に”じゃないッ!“と”!」
(ふぎゃって…)
周囲が一斉に男と私に注目して、ついには遠くから知らないおじさんが応援しだす始末。
「えーっと、
それはコクってんの?」
帰りの電車が駅に到着するまで後3分。
訳の解らない状況にイラっとした私は、わざと駅の時計に目をやって溜め息をついた。
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