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大貴は俺と同じ年ぐらいの男に勢いよく突き飛ばされた。
体が一瞬、宙に浮き尻餅をつく。
こんな状況なのに大貴は静かにその場に座りこんだ。
…こんな状況だから座りこむ事しかできなかったのかもしれない。
しゃっくりで肩を震わせ、鼻水をすすっている。
「とっ…とおたっん…。」
俺にははっきり聞こえた。
俺を呼んでいる。
あの場にいきたい。
抱きしめたい。
頭を撫でてやりたい。
突き飛ばした奴らを殴ってやりたい。
爆弾をとってやりたい。
大貴…。
恐いな…。
痛いな…。
苦しいな…。
俺は熱いものが込み上げてきた。
「何でもするから、大貴…大貴だけは助けてくれ!!!」
俺は、ドアに体当たりした。
跳ね返しされても、何度も何度も体当たりした。
大貴…。
大貴……。
父さん、すぐ行くからな…。
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