見ているだけ

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3日目。 俺は眠れずドアや窓を叩き続けていた。 こんなに近くにいるのに…届かない。聞こえない。 白い壁は俺の血でところどころ赤茶色に変色している。 手が挟まった時にできた血や、頭を自分で打ち付けたり、脱力感で壁にもたれたせいだ。 大貴…。 窓を見る。 すると、1人の老人が大貴に声をかけているではないか。 そっと、頭を撫でている。 俺は、その老人が神に見えた。 現状は変わらないにしろ、大貴に話かけてくれた。優しくしてくれた。 やはり年寄りは優しいのだろうか…。 その時、アナウンスが流れた。
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