見ているだけ

41/45
前へ
/45ページ
次へ
張り詰めた空気が流れる。 大貴の腕輪についた時計が4分をすぎた頃、俺の頭に衝撃が走った。 殴られたのだ。 その一発から始まり老若男女、俺達を殺そうと向かってきた。 俺は、大貴を強く抱きしめうずくまった。もう反撃する力も残っていない。 …大貴を下にしてうずくまるしか大貴を守る術が見つからなかった。 俺が気を失うか殺されたら、大貴を失ってしまう。 絶対、絶対、耐えるんだ。 4分が、とても長く感じた。 もう、痛みも恐怖も感じない。 意識すらあるのか、ないのか自分でも分からない。 ただ…。 大貴だけは…。 大貴だけは………。 集団が殴るのを辞め、俺達からできるだけ遠くへと離れていく。 ……。 残り 30秒………………
/45ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6688人が本棚に入れています
本棚に追加