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「………あぁ~あ。よくやるよ…。
市全体に張り巡らせるなんて…、力使い果たしたんじゃないか?」
「それは、お前の想像に任せるよ…」
実際は図星だ。
こんな広範囲に力を使い続け、陣を形成し発動させ…。こんな無茶な事、今回が初めてだ。
「さてと…、次の策はなにかな?
って、言っても今の状態で何か出来るのか?」
用意してあるが…。まだ、完成していない…。
(気付かせちゃいけないな)
何とか時間稼ぎをしておかなければ…。
「しかし、あれだな…。
貴様はこの堕天と同じ天使なのに、随分と変わった力を持っておるな…」
うわばみ様が喋った。
「ほう、聞いてないのか?俺も凶神だって事を…」
ミカエルの姿が変わった。
また、翼は黒く、髪の毛は白色に変わり果て、露出した肩や腕、足には深紅の入墨が浮かび上がった。
「守護の聖人…。戦の英雄も変わり果てたものだな。
邪に身を委ね、力を宿したところで、その闇に心を食い尽くされるのが関の山だぞ」
うわばみ様は飽きれている様な声でそう言った。
「…くっくっ…そうでもないぞ…。
我々が発見した方法を使えば、この力を制御できる…。神をも超越したこの力をね…」
そう言った瞬間、表情の読めないうわばみ様が、激怒している様な感じがした。
「…………神の超越か…。神を目の前にして大層な口を聞く童だ…。
だが、神を超越できるのは神のみ…」
その瞬間、上空に紫色の光が辺りを照らし出した。光は段々と円状に広がり、ミカエルの上だけに大きな円を作り出した。
(少し早いが、繋がったらしいな…)
これは、魔界と繋がる門。滅び去り、地面すら存在しない魔界に送れば、いくらミカエルでも、自力ではここに戻って来れないだろう。
「ほぉ…。俺は魔界行きか。
さらに、この蛇の睨みで動きも封じられたみたいだな…」
「ふん…。我が睨みで逃れられた者は居らぬ。観念しろ」
俺は両手の平を紫色光の円に向かって伸ばし、開門させた。
開いたその空間は、暗黒の色一色。それ以外には何もなかった…。
「懐かしいところに俺は飛ばされるな…」
「あぁ、逝っていろ。堕天の者!早くやれ!」
俺は、うわばみ様の一言で一気に円を下げた。一瞬にしてミカエルを魔界に落とす為。未練のない様にする為…。
「さよならだ…。ミカエル……」
紫色の門はミカエルを中に閉じ込めた……。
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