-4-[少女]

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  「………!」  …誰かが俺を呼んでる…。  ……誰だろ…。 「……隊……長…!」 「……ゼルエル…か…」  …そうだ…、今は戦時中…。  魔界の罪人を一掃するために…… 「早く起きてください! 敵が来てます!」 「あぁ、すぐ行く…」そう言って寝そべった体を起き上がらせた。    その瞬間、かすかにぼやけていた景色が鮮明になり、それと同時に…。 「逃げろ!ゼルエル!」  この後、起きる惨劇を思い出した…。    ……ゴォオオオ……  …ゼルエルがテントを出た瞬間に爆音…。    あの時と同じだ…!  ……全く同じだ…!    …そして…… 「…た…い…ちょう…」    俺の元に帰ってきたのは…  ……あいつの…首だけだった…                           「………!!」  ………目が覚めた時には…、ベッドの上で寝そべっていた…。 「……今のは…夢…」  …また、死なせてしまった…。  夢の中とはいえ…、また殺してしまった…。 「………すまない……」  自然と涙がこぼれた…。   「……?」  それと同時に、すぐとなりから、もぞもぞと動くのを感じた。  ……まさかなぁ…。 「……まさか…かぁ…」  ゆっくり、分厚い掛け布団をめくると…、すやすやと寝息をたてる、あの少女が眠っていた。
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