-4-[少女]

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 なんでこうなったんだ…?  肘を支えにして、少しだけ起き上がった。  ……周りを見ると、薬品や包帯…、そして開きっぱなしの一冊の本が机の上に置かれていた。 「あれを参考に…、応急手当をしてくれてたのか…」  ここからでは読めないが、多分医療の本だろう。 「………そんなことより…」  こいつを起こすとするか。  なにかと聞きたいことがあるし…。   「…起きなさい…」  肩を揺さぶり、声をかけた。 「…………」  すると薄目を開き、ゆっくりと起き上がった。 「………………」  そして、起き上がったまま、動かなくなった。 「………起きてるのか?…」  俺も起き上がろうかと思ったが、背中の痛みがひどく、思うように動かせなかった。 「…………?」  しばらくすると、何かスイッチでも入ったかの様に、きょろきょろとあたりを見渡しはじめた。 「…………!」  捜し物を見つけたのかベッドからゆっくりとおりた。 「……メガネか…」  下に落ちていたのだろう、上縁のないメガネをかけて、ベッドをのぞき込んだ。 「…………」  そして、[ペコ]っと頭を下げて挨拶。 「…あ、あぁ…、おはよう」  無口な奴だな。初めて会った時から、そう思っていた。    …キュキュッ…   …キュッキュッ…   「…ん? なに、書いてんだ?」  いつの間にか持っていた、あのスケッチブックに、黒いマーカーペンで何かを書くと、俺の方に見せた。   『おはようございます。 お体の方はどうですか?』   「……えっと…まぁ、良い方です」  すごい不思議に思えた。まさか、ここまで口下手な人がいるんだな…。  キュッ…キュキュ…   キュキュ…キュッ…  一枚めくると、また書き始めた。 『それを聞いて安心しました。 倒れた時、「亡くなったのでは?」と少なからず思っていましたから…』  読み終わり、少女の顔を見上げた。…笑みを浮かべながらも、少しだけ泣いていた。 「そう…か…。すまない…」  そう言うと少女は恥ずかしそう手を振り、また書いた。 『いえいえ。 謝らないでくださいよ。 困った時は助け合うのが当たり前なのですから』  さっきまで半泣きしていた目がもう、嬉しくて溜まらないっと訴えるほどの笑みに変わっていた。
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