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「………!」
はっとした表情を浮かべ、また何かを書き始めた。
『そう言えば自己紹介まだですね』っと書かれたスケッチブックを俺に見せつけると、一枚めくりあげた。
『私、「木風 椛(こかぜ もみじ)」と申します。
特技は辞書を見ないで難しい漢字を書くことです』
別に書かなくてもいいことまで書いてる。スケッチブックの右端に「葡萄」と「檸檬」の文字と一緒に、白黒のイラストが描かれていた。
「…そうか…」
俺が返事をするとすぐに次のページをめくった。
そこには『貴男のお名前は?』っと一文、書かれている。
(名前…か…)
堕された俺だ…。
あの名前…、神様に頂いた「エスタウェル」は、もう使えない…。
「名前は…ない…
……好きに呼んでくれ…」
言った途端、沈黙が走った…。
「…………」
コクッと頷くと、困った顔をしながら、またキュッキュっと音を立てて書き始めた。
しばらくすると、晴れ渡った顔で書き終えたスケッチブックを見せた。
『それでは…
「命(みこと)さん」って呼ばせてもらいますね』
そう書いてあるスケッチブックには「出会った運命の命からとりました」とも書いてあった。
「日本名か…それもいいね」
キュキュッキュ…
『気に入っていただけてよかったです(^-^)』
顔文字まで使ってうれしさを表している。ある意味、人間界の必需品[携帯電話]とか言う、便利品のようだな。
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