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「一つ聞くが…
…何故、喋らない?」
[言葉]で話してもらいたい。そんな一心で尋ねた…。
だが、これは聞いちゃいけないことだった…。
「………………」
尋ねた途端、少しおどおどとし始め、やるせない様な表情でマーカーペンをはしらせた。
…キュッキュ…キュ…
『実は…私…。
…声が出ないんです…』
「……すまない…
…察してやれなくて…」
そう言うと、木風は首を横に振り、『謝らないでくださいよ』と書かれたページを開き、その一文を焦りながら指でなぞった。
「…そうだったな」
キュキュキュッ!
軽快なペン捌きですぐさま書き終えると、満面の笑みでスケッチブックを見せた。
『今、初めて笑いましたね!』
「…そうかもしれないな」
天上界から堕され、悪魔の所為で天冥力をなくし、こんな大怪我をおって…。…あの夢まで見てしまった。
自分でもわからないが、心が休まらなかったのだろう…。
「ありがとう…」
木風と話してると昔の天上界を思い出す…。仕事ばかりだったが、それでも楽しい仲間がいたあの頃を…。
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