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すべての発端は三年前からだ…。
人間界に見知らぬ神…。[鬼凶金剛神]と呼ばれる三神一体の神が現れ、一つの町を破壊した、っと言う報告を受けてから、数日後の出来事だった…
俺は熾天使の仕事として、人間界で起こったありとあらゆる事件の報告書の確認と、例の凶神について調べていた、まさにそんな時だ…。
「……ん?地震?」
この天上界ではあり得ないはずの微震動がおきた。
「おい、誰かいないか?」
呼び鈴を鳴らし、他の天使を呼んだが、誰も来ない。いくら今いるこの書斎が、宮殿の一番端にあるとは言え、呼び鈴が聞こえないわけではない…。
現にさっき茶を持ってきて貰ったばっかりだったからな。
「おぉい、誰かいないのか」
仕方ない。直接行くか…。
本の山から飛び立ち、下の扉にまで降りたった。
「おぉい、誰か…って」
部屋の外に出た瞬間、目の前の光景に我が目を疑った。
今の今まで、あんなに忙しそうに飛び回っていた天使達が廊下にぐったりと倒れている…。
「なにがあった!」
すぐさま近くで倒れている天使に飛びよった。「おい、しっかりしろ!」
仰向きに起こし様子をみた…。
さっき茶を運んできてくれた、まだ見習いの女天使だ…。
目は虚ろっており生気がない。肌は白く血色が悪い…。まるで、何か毒でも受けたような感じだ…。
「……安らかに眠れ…
……フィセルよ……」
…あいたままだった瞼をゆっくり、とざしてあげた…。
「………神様なら何か知っているかもしれない…」
現状を見た限り、これはただ事ではない…。
それに神様の身にも何か事が起きていたら大変だ…。
急いで宮殿中央の玉座に向かうべく、六枚羽を大きくひらき、羽ばたいた。
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