-1-[三年前]

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   玉座に向かう際にも、何体もの天使が倒れていた…。  倒れてる中には能天使や力天使といった有能な天使達まで倒れていた…。   「神様!ご無事でしょうか!?」  玉座に着いた…。  だが、ここもいつもとは違う雰囲気が漂っていた。 「ん、ウェルか…」 「はっ、熾天使エスタウェルにございます!」  玉座の下の広いスペースに降り立ち片膝をついて、頭を下げた。 「そんなに慌てて…、なにかあったのか?」 「はっ神様!宮殿内で天使達が次々と倒れております! 早急に処置の命を!」   「…なにを言っておる? 皆元気ではないか」    神様がそう言った途端、後ろから羽ばたく音がした。 「え…?」  すぐさま後ろを向いた。  そこには何人もの天使達がいつの間にか立っていた。 「ふむ… 疲れているのだろう。 ここのところ、書斎にこもりっきりだったそうじゃないか?」  神様は蓄えた白く長い髭をさすりながらそう仰った。 「ですが! 先ほど一人の女天使を見たのですが…」 「あ、エスタウェル様! こちらにいらしたのですか!」  天使達の中から聞き覚えのある声がした。 「おまえ…!」  あの女天使が慌てながらも笑顔で俺に近付いてきた。 「はい。 懐中時計、落としましたよ」  蓋の部分に六枚の翼が浮き彫りに掘られた懐中時計を両手で手渡してきた。 「ウェルよ… 天使の証を落とす程、疲れがたまっているのだな… しばらく、休日を与えるとしよう」  …いくら言っても、言い訳みたいに聞こえてしまうな…。 「………はい…ありがたき幸せにございます…」        この時に、気付いてればよかった…。  同じ[仲間]だと思っていた天使達が、[敵]になっていた事に…。
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