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玉座の間に空けられた大穴に俺は真っ逆様に落ち、雲の中へと入っていった…。
(……飛べないって…
…こんなに不便なのか…)
力を入れても、なにも出来ない…。過労じで[天冥力]を使い止血はしたが、翼は戻らなかった…。
「………畜生…」
ただ、落ちるしかないのか…。
確か今は日本の真下だったな…。雨が降ってるのか…、雲が冷たい…。
「…天使が堕ちた…。
……天使が堕ちた……」
どこからか酷く掠れた歌声が聞こえる…。
「…堕ちた天使はなにになる…?
……我らが乗っ取り寝床とす……」
この歌…、雲にすむ[悪魔]…。
噂だが、堕ちた天使はこいつ等に体を奪われ凶悪な[堕天使]へと変えられてしまうと…。
(ホントだったのか…)
早く何とかしないと…。
突然、目の前に雲とは明らかに違う、真っ黒な煙が現れた。
「…さぁ…、堕天使を作ろう…」
その言葉と同時に煙の中から深紅の目とむき出しの牙が出てきた。
「……悪魔なんかに…
この体はやらない…!」
ありったけの天冥力を体全身に張り巡らせた。悪魔もこれなら手出しできないはずだ…。
「…ぐぅっ、忌々しい天冥の力がぁ…」
よし…、思った通り、手出しが出来ないみたいだ。
「………うっ…」
だが、こんな無茶な事、そう長くは出来なさそうだ…。背中の治療で力を使いすぎたのか、力があまり出ない。
(…仕方ない…一か八か…)
体に取り巻いた天冥を一気に放出させた。
「なんだ…
…ルシフェルの時には、こんなことなかったぞ……!」
悪魔が浄化されていく…。
「……消えろ…!」
あと、少しで消える……。
「……ぐっ…!」
背中の痛みが急に増した…!
「……背中に入り口…!!」
天冥の光が弱まった瞬間、小さくなった悪魔が背後に周り、治りかけの背中の傷に流れ込んできた…。
「…ぐぁ…かぁ!」
激痛がさらに酷く、より熱く背中を痛めつけた。
「…体…もらうぞ…」
「…ふざけんじゃ…ねぇ…!」
そう叫んだ瞬間、心の奥底から何かが溢れ出てくる…。これが何なのかわからない…。だが、奴には毒なはずだ。
「…お……のれ…がぁ…!」
体内な入ってきた悪魔の存在が薄れていく…。そして、同時に何かが消えていく気がした…。
「……天冥がなくなったのか…」
もう、天使の矢も剣も出せない…
(……………)
そして、いつの間にか意識が薄らいでいき、目の前がただの暗闇へと…
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