-2-[自由は罪]

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 玉座の間に空けられた大穴に俺は真っ逆様に落ち、雲の中へと入っていった…。 (……飛べないって… …こんなに不便なのか…)  力を入れても、なにも出来ない…。過労じで[天冥力]を使い止血はしたが、翼は戻らなかった…。 「………畜生…」  ただ、落ちるしかないのか…。  確か今は日本の真下だったな…。雨が降ってるのか…、雲が冷たい…。   「…天使が堕ちた…。 ……天使が堕ちた……」  どこからか酷く掠れた歌声が聞こえる…。 「…堕ちた天使はなにになる…? ……我らが乗っ取り寝床とす……」  この歌…、雲にすむ[悪魔]…。  噂だが、堕ちた天使はこいつ等に体を奪われ凶悪な[堕天使]へと変えられてしまうと…。 (ホントだったのか…)  早く何とかしないと…。  突然、目の前に雲とは明らかに違う、真っ黒な煙が現れた。 「…さぁ…、堕天使を作ろう…」  その言葉と同時に煙の中から深紅の目とむき出しの牙が出てきた。 「……悪魔なんかに… この体はやらない…!」  ありったけの天冥力を体全身に張り巡らせた。悪魔もこれなら手出しできないはずだ…。 「…ぐぅっ、忌々しい天冥の力がぁ…」  よし…、思った通り、手出しが出来ないみたいだ。 「………うっ…」  だが、こんな無茶な事、そう長くは出来なさそうだ…。背中の治療で力を使いすぎたのか、力があまり出ない。 (…仕方ない…一か八か…)  体に取り巻いた天冥を一気に放出させた。 「なんだ… …ルシフェルの時には、こんなことなかったぞ……!」  悪魔が浄化されていく…。 「……消えろ…!」  あと、少しで消える……。   「……ぐっ…!」  背中の痛みが急に増した…! 「……背中に入り口…!!」  天冥の光が弱まった瞬間、小さくなった悪魔が背後に周り、治りかけの背中の傷に流れ込んできた…。 「…ぐぁ…かぁ!」  激痛がさらに酷く、より熱く背中を痛めつけた。 「…体…もらうぞ…」 「…ふざけんじゃ…ねぇ…!」  そう叫んだ瞬間、心の奥底から何かが溢れ出てくる…。これが何なのかわからない…。だが、奴には毒なはずだ。   「…お……のれ…がぁ…!」    体内な入ってきた悪魔の存在が薄れていく…。そして、同時に何かが消えていく気がした…。 「……天冥がなくなったのか…」  もう、天使の矢も剣も出せない…   (……………)  そして、いつの間にか意識が薄らいでいき、目の前がただの暗闇へと…
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