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「山之内さんは、歌が上手いね」
横浜の自宅に戻る、BMW の助手席で、工藤香織が、運転する秀次郎に言う。
「山之内先輩は、相変わらず高音が出ていたな。あの音域の広さは凄いよ」
工藤秀次郎は、ラキストを吸いながら言う。
「亜利沙先生が、ヴォーカルの時と、雰囲気が違うから、リハーサルを見ていて、楽しかった」
亜利沙先生とは、《チェリーボーイズ倶楽部》のヴォーカル兼ドラマーの友田亜利沙の事で、今は、釧路で内科医をしている。
「山之内先輩の詩の世界と亜利沙の詩の世界は、違うから」
「秀次郎さんは、どっち詩の世界が好き」
「難しい質問だね…。山之内先輩の方が、男目線で作詩しているから、理解しやすいかな」
工藤は、しばらく考えて、香織の質問に答える。
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