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「何が、思い出が大切なだけ、今の君も大切だからよ」
二軒に行った、小洒落たバーで山之内真理子は、呂律が回らない口調で言う。
「何それ」
「主人が作詩した歌。絶対に経験を元にしているよ」
「ご主人にヤキモチを妬いている」
「誰が…。私、冗談でしょう」
真理子は、カンパリを一気に飲み干す。
「真理子、飲み過ぎだよ」
近田は、真理子からグラスを取り上げる。
翌朝、自分のベットで目を覚ました真理子は、どの様にして帰宅したか、記憶がなかった。
重い頭を激しく振ってから、ベットを降りて、バスルームに向かう。
シャワー浴びて、真理子は、洗面台の鏡を見ると、昨夜の深酒で、顔がむくんでいる。
「昨日は、飲み過ぎたな。気をつけないと」
真理子は、濡れた髪をドライヤーで乾かし始める。
「昨日は、不良をしたな。顔がむくんでいるよ」
始業時間ぎりぎりに出社した真理子に、同期入社の寺島菜穂子が声をかける。
「昨日は、久しぶりに記憶喪失」
「日曜日で旦那さんが休みでしょう。ほどほどにしないと離婚されるよ」
菜穂子の言葉に真理子は、作り笑いで答える。
『昨日は、ありがとうございました。私、迷惑をかけませんでしたか?』
昼休みになるとすぐに真理子は、近田春彦にメールをする。
『楽しく飲んでましたよ。また飲みましょう』
昼休みが終わる頃、近田からメールが来る。
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