知音

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一人リビングで飲み物を探す。 真夜中なので人気がまるでない。 結局真は何をしにやって来たのだろう。 親と喧嘩したとか言っていたが、それでこんな所までくるとはそうとうな喧嘩だったのだろうか。 適当に飲み物を手にしてリビングを出る。 部屋に入ろうとした時、重いため息が聞こえた。 「……真?」 声をかけながら部屋に入る。 すると一瞬で表情変えたらしい真が辞書を突き出しながら言った。 「遥喜っこの“ちおん”っての載ってねー!」 国語のプリントが机に散らばっている。よく見れば辞書も俺のだ。 飲み物を渡しプリントを見ると“知音”と書いてある。 「…真、これは“ちいん”だ」 「……騙された…」 そう言って落ち込む。 誰に騙されたのか、あえて聞かない事にした。
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