5207人が本棚に入れています
本棚に追加
/1017ページ
「ところで田舎から出てきたばっかりでって言ってましたけど。
もしどこか行くんなら案内しますよ?」
ジュンが訊ねてみると女性は少し困ったような顔で答えた。
「実はその……場所じゃなくて人をちょっと探してるんです。でもその人の住所になってるところがどこかわからなくて……」
「ああ、そうなんです--わっ!」
しゃべり終える前に奈緒がジュンを引っ張り言葉を遮った。
「なんだよナオちゃん!」
「ワタヌキさんチャンスです!ビジネスチャンスですよ!」
「え?」
「探偵の仕事は殺人事件の調査だけじゃないんです!素行調査や人捜しなんかもドンと来いです!」
「ああ、なるほど!だったらその人を捜し出せば…」
奈緒はニコッと微笑んだ。ジュンも微笑み返す。
そして呆気に取られている女性にジュンが少し照れくさそうに言った。
「人捜しなら任せてください。
俺達、その道のプロ……いやアマなんで」
最初のコメントを投稿しよう!