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男は水を飲みながらそう言った。
画面の中の男は疲れを感じさせるようなため息をつきながら答える。
『……ではこれは元に戻してきます』
「本当に悪い。念のため言っておくが証拠は残すな」
『わかりました』
男はパソコンを閉じると、「ふう」と息をつき水を飲み干した。
(まさか警察署に保管されていたモノが偽物とは……やはり本物はあいつが……)
男が額に手を当てて考えているとテーブルの向かいの席にサングラスをかけた女性が座った。女性はサングラスを外すと男に微笑みかける。
「お待たせしました。どうでした?」
「偽物だ。あれが偽物だとすると本物の在処は一つしかない」
「偽物?……あの男、探偵より贋作士の方が合ってるのでは……」
冗談だろうが真顔で女がそう言ったため男は笑ってしまった。
「ははっ。まあね。しかしあの男が持っているとわかっても肝心の居場所がわからない。どうしたものか……」
男は自慢の頭を働かせながらテーブルを指でコツコツと叩いた。
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