第2話『追跡劇』プロローグ

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「一人目はワタヌキ ジュン。追い詰められると能力を発揮するタイプ。個人的にはあまり相手にしたくない」 「“Ⅹ”はきっと彼を見くびっていたんでしょうね」 女の相槌に頷いて男は続ける。 「二人目は坂崎 奈緒。三大探偵、坂崎 一郎の実子。“真眼”というこれまた厄介な嘘を見抜く力を持っている。回避も不可能ではないが難しいだろう。 それから三人目は……」 男は少し考えたがすぐに続ける。 「桐咲 一輝。こいつは手先が器用で爆弾を解除したことがあると本人が言っていたらしい。 我々の仲間に普通に話しかけてきていることから性格は社交的だが若干バカだと思われる」 女は頷いた。苦笑しながら。 「四人目は前田 早苗。彼女は頭がよく回る。行動力もあるし、知識も深い。この四人の中では一番厄介な相手だろう」 「……時間の経過は怖いものです」 女は皮肉をこめて笑った。
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