第一章:襲撃

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水樹家の事件から早3ヶ月。 冬は過ぎ去り春が来てすっかり桜も散ってしまったがそんな事は関係なく、この寂れた事務所ではいつものようにジュンと奈緒が空腹で苦しんでいた。 前の事件で報酬を受け取ったものの、格好をつけて『明夜さんに渡すまでこれは使わないで置いとこう』とその金には一切手を出していないからである。 わずかに残っていた金も本当の本当に底をつき、2人は安売りしていた米を食べてなんとか食いつないでいた。 「ワタヌキさん!」 「ん……なに?」 「私たちこれからどうするんですか?このままじゃ確実に餓死しますよ!」 「う、うーん……まあなんとかなるよ!」 ジュンが現実逃避をして親指をたてると電話が鳴った。『近いうちに電話も止まってしまう』と憂鬱になりながらジュンは受話器をとった。
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